製造部の次世代を担う3人のリーダーが
人・技術・製品の魅力を語りつくす。
開発・設計から製造までを自社で一貫して行っている富士精工本社。モノが生まれる現場では、感動や、驚きや、楽しさも一緒に 生まれています。先人が積み上げてきた技術とスピリットをどう受け継ぎ、どう伝えていくのか。3人のリーダーが語り合いました。
小竹:僕は部品の板金加工をしています。これがいわゆる初工程で、次は垣内さん、山本さんのところにバトンタッチします。
垣内:第二工作課は特殊なものを担当していて、自分は原子力発電所の扉だったり、止水扉の溶接をしています。
山本:仕事の連携でいうと、小竹君とは、部品が予定通り入るか確認したり、もうちょっと早く欲しいときは交渉したりと、よくコミュニケーションとって情報共有しています。でも小竹君、電話すぐ切るんですよ。もうワンテンポ待ってよ(笑)。
小竹:社内にギスギスしたところはないですよね。
垣内:うん、でも仕事中の山本君はこんなにニコニコしてないですよ。目つきが違う(笑)。
垣内:いろいろありますけど、入社2年目で自分がまだ全然仕事ができなかったとき、20m×6mという巨大な扉を5~6人のメンバーでつくったんです。どうやってやるんだろうと想像もつかなかったのですが、徐々にかたちができていき、ちゃんと完成して出荷されていきました。自分は手伝い程度だったんですが、完成品を見上げて「うちの会社はこんなことができるんだ」と、設計から始めてつくり切るという凄みを実感しました。
山本:僕それを見に行って、記念写真を撮りましたよ。入社1年目で何も分からなかったけど、とにかくすごかった。
垣内:完成したものを見るのはいいことだと思う。新人さんとか、自分のした仕事が最後どうなるか知らないこともあるから、ぜひ見てほしい。
小竹:僕はオールステンレス仕様の特殊な製品をつくるという案件があったんですけど、コンマいくつのズレも許されないシビアな仕事で、かなり緊張感がありました。ドキドキして汗が吹き出たこと覚えています。その仕事ができるようになったら、通常の仕事が急に簡単に思えました。自信がついたのかな。
山本:その溶接は自分が任されました。仕事を任せてもらったこと自体は嬉しかったんですが、それに見合った能力がまだなくて、失敗もしました。上司に叱られるのは当たり前なんですけど、それだけじゃなくて「次はこうすればいい」とアドバイスを貰って、本当にいい経験になりました。自分もいつか上司という立場になったら、この人みたいになりたいと思いましたね。
小竹:失敗はすればするほど成長しますね。逆に「これはやばい!」という経験をしてないと、後から怖いかも。
山本:そういう部分では、今若手に「この仕事をまかせていいものか」「失敗しても経験させたほうがいいのか」と悩んでいるところです。
垣内:ミスするのは仕方がないことだし、ずっと簡単な仕事だけしていても成長は望めないから、まかせようと思った後輩には、まかせる勇気も必要だと思う。山本君は優しいから。
山本:鬼になってまかせてみます(笑)。
小竹:自分の経験でいうと、基礎がないのにまかせるといわれても、できないのが分かっているからやりたくない。ある程度経験してちょっとでも「やれるかな」と思ったら、一歩前に行ける。だから自分は、簡単な作業から始めて、これができたら次はこれ、とステップアップして任せていってます。
山本:自分は溶接なので、大きくてごついプラモデルを作っているイメージで、何かしらかたちになるのが楽しいですね。
小竹:部品加工ではそういう楽しさは感じにくいのですが、前は「これやりたくないな」「曲げたくないな」と思ったものが、「俺に任せろ」と言えるようになったときに達成感があります。
山本:それいいね。僕は「気づいたらもう10年」で、これを成し遂げたという感覚はあまりなくて。おのずと後輩は増えているけど…。一人前って何なんですかね。
垣内:上には上がいる、尊敬できる人がいるからね。自分が新人時代に仕事を教えてくれた人は、本当に仕事がきれいだし、知識量もすごいから、どんな質問をしても返ってくる。自分がこれから先、この仕事を続けていってそこまでなれるのか、という不安もあったりします。
山本:見てきた背中がでかすぎるんですよ(笑)。
小竹:先輩も今の自分たちと同じことを考えていたかもしれませんね。伸びしろはあるけれど、客観的には成長してるはずです。
垣内:当社は製造業の中でも特殊なものをつくっています。ふだんは目にすることはないけど、人の生活や命を守っている。製造業で働くにしても、他と違う面白いことしたいと思ったら、ぜひ当社を検討してみてほしいと思います。一緒に仕事することになれば、ここにいる人たちはきっと優しく教えてくれるはずです。
山本:垣内さんが言うとおり、自分は就職活動のとき、企業情報を見て特殊な金庫扉とか、原子力発電所の扉とか、面白そうだなと思いましたよ。決め手になったのは完全週休二日制で、基本的に交代勤務がないことでしたけど。
垣内:それも大事なこと。入社後にこのものづくりは面白いなと思うこともあるしね。
小竹:学生時代は嫌なことがあっても、放っておけばなんとなくやり過ごせます。でも社会人になると、自分が動かないと解決しませんし、周囲との協力も欠かせません。なので、自分の意見を周りに伝えるということに、今のうちに慣れておくといいと思います。自分自身も、思いはあっても、どう伝えればいいのか最初はすごく難しく感じました。技術的なことは入社してからしか学べないので、今はコミュニケーションを意識しておくと後で役立ちます。
垣内:さっきも話したように、自分の中では入社2年目の経験がすごく大きいんです。そのときに中心になっていた人が定年になって、その人のことを知っている人も減っていってます。それがもったいないなと思って、うちの会社が持っている技術力、人の力、チームワークを、なんとか後輩に伝承したいんです。先輩の技術を継承し、みんなが高いレベルで仕事ができる状態を継続していく。ものづくりって、そういうことだと思うんです。
小竹:僕は技術というより、仕事の環境ですね。「みんなでやるぞ」「さあ今日もやるか!」というポジティブな雰囲気があると、仕事はがぜん楽しくなります。そういうムードをつくっていける人間になりたいですね。
山本:目標としている上司に少しでも近づいて、いつか追い越して、そのときに「これだけできるようになりました」と胸を張って言えるようになることが個人的な目標です。あとは自分も今、リーダーとして後輩を指導しているわけですけど、自分のチームを盛り上げて、将来的にこのメンバーで会社全体を引っ張っていきたいんです。今はみんな同じ場所で切磋琢磨してますが、別の部署に異動になったら、そこを盛り上げていく。そしていずれは、会社全体を盛り上げていきたい。そういう思いをみんなに話して、だから頼むぞ、頑張っていこうぜ、と伝えています。
垣内、小竹:それかっこいいね。ここで働きたいと思える会社、誇れる会社にしていきたいですね。